腎臓が悪い人必見!「透析が必要です」と言われたら絶対に読む記事

透析

「そろそろ透析が必要です」

「将来、透析が必要になるかもしれません」

医師から言われた多くの患者さんが首を縦に振りません。

透析は大変そうだし、いま特に困っていないし、受けなくてもいいなら透析なんてしたくないですよね。では、なぜ医師は”透析が必要です”というのでしょう。透析をしなければどうなってしまうのでしょうか。透析が必要ですと言われた患者さんに知ってほしいことをまとめました。

「透析が必要」な状態とは

透析が必要な状態とは“腎臓が働いていない状態”のことです。

腎臓は体内の余分な水分や毒素を体の外に出す働きがあります。そのほかにも、血圧や貧血などを調整する役割があります。

腎臓が働いていないと体の中に水分や毒素が溜まってしまうので、気持ちが悪くなったり、食欲が低下したりと尿毒症の状態になってしまいます。

さらに、高血圧や腎性貧血などを発症することも。

この状態が続くと体の中の水分や毒素のバランスが保てなくなり、心不全や尿毒症をおこし命の危険が高まってしまうのです。

自覚症状がなくても透析は必要?

自覚症状がなくとも、服薬や食事療法などで改善しない慢性の腎機能障害や臨床症状を認めた場合は透析が必要です。

「でも、腎臓が働いてないっていうけど何も症状はないよ?」と思うかもしれません。

実際に末期腎不全の状態になっても、自覚症状が全くないという患者さんは少なくありません。

また腎臓病の症状は毎日少しずつひどくなっていくため、自覚症状に気付いていないという患者さんもいます。

自覚症状がなくとも、ある程度腎機能が悪くなったら、透析が必要なのです。

透析を先延ばしにしていたら、必要じゃなくなることはある?

ギリギリまで透析を先延ばしにして、透析が必要じゃないくらい腎臓がよくなった…ということはありません

とくに、慢性腎臓病の患者さんではまず起こりえません

急性腎障害の患者さんの場合は、一番腎機能が悪いときには透析が必要です。しかし、中長期的に透析が不要になるケースもあります。

急性腎障害について、詳しくはこちらの記事を参考にしてください。

透析を先延ばしにしたあなたの体におこること

透析を先延ばしにするのは、体にとって良いことではありません

透析を先延ばしにすると、次のような症状が現れるリスクが高くなります。

・体力の消耗
・息苦しさ
・吐き気
・食欲不振
・心不全
・不整脈
・心停止

「まだまだ…」「もう少し…」と先延ばしにし過ぎると、最悪の場合亡くなってしまうこともあるのです。

また透析を先延ばしにして、もうどうしようもなくなったときに入院して透析を始めたいという方もいます。

”どうしようもなくなったとき”に透析を始めることは、おススメしません。

その理由は入院期間が長くなったり、体力が衰えたり、後遺症が残ったりする可能性が高くなるからです。

適切なタイミングで透析を始めることで、体への負担を最小限にできるのです。

透析をはじめる基準~厚生労働省透析導入基準~

「そろそろ透析が必要です」

あなたを担当した医師は、ただなんとなくそう言っているのではありません。

長期透析療法を始めるかどうかは、厚生労働省が規定した透析導入基準に基づいて決められています。

内服や食事療法など保存的な治療で改善できない慢性腎機能障害、臨床症状、日常生活への支障があり、以下のⅠ~Ⅲ項目の合計点数が60点以上になったとき、透析導入の適応となります。

Ⅰ 腎機能

30点血清クレアチニン8mg/dl以上 (クレアチニンクリアランス10ml/min未満)
20点血清クレアチニン5~8mg/dl未満 (クレアチニンクリアランス10~20ml/min未満)
10点血清クレアチニン3~5mg/dl未満 (クレアチニンクリアランス20~30ml/min未満

Ⅱ 臨床症状

1~7小項目のうち3項目以上のものを高度(30点)、2項目を中等度(20点)、1項目を軽度(10点)とする。

体液貯留(全身性浮腫、高度の低蛋白血症、肺水腫)
・体液異常(管理不能の電解質・酸塩基平衡異常)
・消化器症状(悪心、嘔吐、食欲不振、下痢など)
循環器症状(重篤な高血圧、心不全、心包炎)
・神経症状(中枢・末梢神経障害、出血傾向)
・血液異常(高度の貧血症状、出血傾向)
・視力障害(尿毒症性網膜症、糖尿病性網膜症)

Ⅲ 日常生活障害度

30点尿毒症症状のため起床できない
20点日常生活が著しく制限される
10点通勤、通学あるいは家庭内労働が困難

上記に加え、年小者(10歳以下)、高齢者(65歳以上)あるいは高度な全身性血管障害を合併する場合、全身状態が著しく障害された場合などはそれぞれ10点加算します。

「透析が必要なんてウソだ!」

このように感じた方は、透析導入基準にどのくらい当てはまっているかチェックしてみましょう。合計点が60点を超える、もしくは60点に近い場合には、客観的にみても透析を始める心づもりが必要なのです。

それでも透析をしたくない方へ。透析をせずに生きられる期間

それでも透析をしたくないという方もいるでしょう。

透析をしないままどれくらい生きられるのか、世界中の論文から考えてみます。

イギリスの研究結果では、末期腎不全の患者さんが透析をしなかった場合の平均余命は1.95年でした。

また、西ヨーロッパと北アメリカの高齢の末期腎不全で透析をしなかった患者さんの平均余命は6~23か月と報告されています。

末期腎不全の患者さんが透析をしなければ、2年も生きられないようです。

さらに透析をしない患者さんの多くは、前述のような尿毒症症状や息苦しさ、心不全などでつらい時間を過ごします。

透析をしないで、今のままの暮らしを続けたい…。それは実際は、とても難しいのです。

透析をしたら何年生きられるか?について、詳しくはこちらの記事を参考にしてください。

まとめ

「そろそろ透析が必要です」といわれたらショックでしょう。

なんとかして透析をしない方法を探したくなりますよね。

しかし、透析はいつまでも先延ばしにできるわけではありません。

透析を先延ばしにしすぎることはご自身の体に余計な負担を与えたり、突然死のリスクを高めます。

適切な時期に透析を始めることで、体への負担は最小限にでき、その後の人生を楽しむこともできるのです。

透析を始める決断は、とても苦しいものだとお察しします。透析をしていない医療者には、この気持ちはわからないと思うかもしれません。しかし、われわれ医療従事者は少しでもあなたの力になりたいと思っています。

そしてねふなびが、その一助になればうれしいです。

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